業界内の人間にとっては常識的なことでも、
別の業界の人間から見たら驚いてしまうようなことは世の中に沢山あります。
ウェブサイトのことを少し知っている人の多くは、
HTML を書くだけで簡単に作ることが出来ると考えています。
確かにそれでページは表示されるようになります。
しかし、それは「チャーハンなんて炒めるだけで出来る」と言っているようなものです。
適当に炒めただけで作ったチャーハンを中華料理店でお客様に振る舞えるのでしょうか。
具材の切り方や混ぜ方、鍋に入れるタイミングや調味料のバランスなど、
熟練の料理人にしか分からない要素も多分に含まれています。
ウェブサイトも簡単に作れるようでいて、
知っておかなければならないことが沢山あります。
上記で挙げたのはほんの一例に過ぎません。
ウェブ業界では一般的なことであったとしても、
入門書を読んだだけでは知り得ないことが沢山あります。
きちんとしたものを作ろうと思うと、
実際には様々なことを考慮しなければなりません。
そのためには HTML の勉強に時間をかける必要があります。
そこで、変に中途半端なものを作ってしまうぐらいだったら、
WIX や Jimdo などのウェブサイト作成サービスを利用しよう、と考える方も多いでしょう。
確かにそれもひとつの選択肢です。
既存サービスを使うというのは、
スーパーマーケットで既に出来上がった惣菜を買っているようなものです。
自分で料理をする手間は省けますが、
あまり融通やカスタマイズは効きません。
この酢豚のパイナップルは入れないで欲しい、とか、
このハンバーグはビーフ 100% にして欲しい、とか、
既成品に対して後から注文をつけることは出来ません。
サブドメインを使えるようにしたい、とか、
セミナー申込者を一覧で管理出来るようにしたい、とか、
オリジナルのデザインを使いたい、とか、
既存サービスの範疇でそれぞれのビジネスに対応した
ウェブサイトを作ることが出来るのでしょうか。
まぁそれでも、それなりのものが出来上がるからいいや、と
考える方も多いでしょう。
そこで改めて考えてください。
ウェブサイトは誰のために作るものでしょうか。
ウェブサイトの役割は、訪れる方を適切にご案内し、
また来て頂けるようにおもてなしをすることです。
自分で作る適当に炒めただけのチャーハンだったり、
スーパーの惣菜のようなものだったりするものをお出しすることが、
果たしておもてなしと言えるのでしょうか。
本当におもてなしをするとしたら、接待するとしたら、
それなりの料理人がいるところに行って、
それなりの料金を払って、
プロの料理を振る舞ってもらうのではないでしょうか。
おもてなしで安い料理しか振る舞ってもらえなかったら、
結局のところ「しっかりしたウェブサイトも作れない会社」という
印象を与えかねません。
起業家がウェブサイトを作るときに考えなければならないのは、
HTML をどうするとか、CSS がどうとかそういうことでしょうか。
そういうことを考えるためのリソースは技術者に任せて、
もっとそれをどう活用するかを考えることにリソースを割く方が
建設的なのではないでしょうか。