看護師の梅本です。
認知症の最大の原因は加齢であり、認知症は誰にでも起こりうる身近な病気です。
だからこそ私は、看護ケアの中で認知症の方に関わることが
最も難しいと感じております。
・患者自身が体調の変化に気づきにくい、気づいていてもそれが上手に伝えられない。
・自身が認知症と感じておらず、ケアによるストレスを蓄積させてしまう。
・患者自身だけでなく、家族も日々の生活に不安やストレスを抱くことがある。
そのため、ケアにあたるものは、
患者の生活背景や思考の個別性・認知症に関する知識と理解が必要不可欠だからです。
今後さらに看護師が認知症患者と出会うことが多くなります。
今回は「認知症」をテーマに患者自身の葛藤や不安、
そこから、どのように寄り添う看護の提供ができるのか考えていきたいと思います。
令和元年度、厚生労働省から100歳以上の高齢者の人口が、前年より1,489人増加の71,274人と発表。
平成29年度高齢者白書によると、2012年は認知症患者数が約460万人、高齢者人口15%という割合だったものが2025年には5人に1人、20%が認知症になるという推計があります。
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認知症はいくつかに分類されます
「認知症」は病名ではなく、特有の症状を示す状態を総称する言葉です。
認知症が進行すると、理解する力や判断する力がなくなって、
社会生活や日常生活に支障が出てきます。
認知症の原因となる病気の半分以上を占めるのは「アルツハイマー型認知症」。
他には「脳血管性認知症」や「レビー小体型認知症」があります。
アルツハイマー型認知症の原因と特徴
異常なたんぱく質が脳にたまって神経細胞が死んでしまい、
脳が萎縮して(縮んで)しまいます。
記憶を担っている海馬という部分から萎縮が始まり、だんだんと脳全体に広がります。
そのため、特徴として新しいことが記憶できない。
思い出せない(時間や場所が思い出せない等)。
また、物盗られ妄想や徘徊などの症状が出現することがあります。
レビー小体型認知症の原因と特徴
脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質の塊がみられます。このレビー小体が大脳に広くに現れます。
そのため、特徴として実際にはいない人が見える「幻視」、奇声をあげたりする異常言動などの症状があります。また、手足が震える、小刻みに歩くなどのパーキンソン症状がみられることがあります。
頭がはっきりしたり、ぼんやりしたり、日によって変動するなどの症状が見られます。
血管性認知症の原因と特徴
脳の血管が詰まる「脳梗塞」や血管が破れる「脳出血」など。
脳血管に障害が起きると、その周りの神経細胞がダメージを受けます。
脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症です。
脳の場所や障害の程度によって、症状が異なります。
そのため、できることとできないことが比較的はっきりとわかれていることが多いです。
手足の麻痺などの神経症状が起きることもあります。
これらの特徴を理解しながら、看護師はケアにあたっています。
訪問看護現場で出会う認知症の方とのやり取り
短期記憶が失われているため、
訪問看護を了承していても初回訪問時に記憶はありません。
看護師の顔も覚えておらず、訪問を拒否されるケースがあります。
こうした場合、
「先日、ご本人、ご家族様に了承を得ています。契約書です。」
と伝えても訪問は受け入れられません。
正当な言葉かけは、通用しません。
利用者にとって初めての看護師であり、訪問目的の理解はありません。
利用者の立場から考えると、
「何をしに来た」、「怖い」、「お金を取られる」
様々に感じているかもしれません。
このようなケースでは、「怪しい者でない」ことを伝えます。
しかし、私たちの気持ちばかりを押し付けてはいけません。
利用者の反応を見ながら、言葉を選び
「先生からの依頼で、○○様の訪問をするように承りました。」
「体調は、いかがですか。」
と伝え、コミュニケーションを図ります。
訪問看護を始めたころは、
「なんで来たの。私は、用事ないのよ」「お金目的でしょ」と言われ、
看護師であっても精神的につらい時もあります。
「出て行って」と突然に利用者が怒ることもあります。
そのようなときは、距離をあけるため「失礼しました」と退室することがあります。
再度、大きくノックし「いきなり、ドアを開けてすみませんでした」と一言。
いきなりドアを開けたなどの反省点はなくても、
利用者にとって何が怒らす原因であったのか探るため、
利用者の気持ちになって謝ることもあります。
この繰り返しです。
信頼関係を作るまでの道のりが苦しく、
はじめの3か月は訪問に行く足取りが重かったことがありました。
そんな時、「私のお手伝いさんは、どこかしら」と笑いながら照れくさそうに、
忘れたことを認め、頼ってきてくれた時は嬉しくなりました。
やり取りに苦労した分、訪問時間が楽しかったと今では思います。
焦らず、信頼関係を作っていくことが認知症のケアでは必要と実感しました。
認知症のケアで、看護師ができること
認知症の方のケアはバイタルサインチェックだけではありません。
・コミュニケーション能力を駆使し、利用者から一つでも情報を得る。
・一生懸命伝えようとしていることを、理解しようとする。言葉だけに頼らずに、目や表情からも利用者の気持ちを感じとる。
・本人が関心を持っていること、歩んできた人生に着目し、「本当に利用者がやりたいことなのか」と相手の気持ちになって考える。
・利用者のできることは時間がかかっても「見守る」、できないことは「一緒に挑戦する」
・あたり前の日常でも、季節や時間を声に出して話の話題にする。
・笑える環境を作り、困ったときの相談ができる雰囲気を感じてもらう。
認知症の方に対する訪問看護の内容
訪問看護の時間が利用者にとって貴重な時間となるように、
本の好きな方であれば本を一緒に読んだり、
歌が好きな方とは一緒に歌を歌ったりすることもあります。
認知症があるから「できない」ではなく、「できることがある」と感じてもらい。
自信をもって、その人らしく生きる楽しみを見つけることを目指し
ケアにあたっています。
認知症の方を子供扱いせず、
もし自分が認知症になった時にしてほしいと思えるケアを
提供できるよう関りたいと思います。
このたび2020年6月1日より
伊丹・尼崎・川西・宝塚を中心として、
エポック訪問看護ステーション
を立ち上げることとなりました。
地域の皆様の健康と安心のため、
利用者様が「その人らしく生きる」手段を共に模索し提供してまいります。
※まずはお気軽にお問い合わせください※
TEL:072-770-1657
エポックでは、自費訪問リハビリサービス・メディカル整体院・セラピスト向けセミナーを行っています。
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