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【心臓リハビリ】運動処方どうしていますか? 心拍数 vs ワット数

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blog.ep-och.com

 

 

 

我々理学療法士は運動処方を行います。

 

その際に、どの程度運動して良いのかの指標が必要になります。

 

特に高齢な方は心臓、腎臓などの臓器にダメージのある方は

よりシビアにこの負荷量を調整する必要があります。

 

今回は自転車エルゴメータを利用することを前提に、

その代表である心拍数とワット数について

それぞれ長所と短所を考えてみたいと思います。

 

心拍数での処方のメリット・デメリット

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理想的には心配運動負荷試験を行って

無酸素性代謝閾値(AT)を求めることで

安全かつ効果的な運動強度の設定が可能となります。

 

ATでの心拍数で処方するのが一般的です。

 

心拍数ならいつでもどこでも測れるので利便性も高くて良いですね。

 

負荷量を一定にしていると体調の波に合わせることができませんが、

心拍数は体調が悪ければ早めにあがるので、

結果的に過負荷を避けることも可能と考えられます。

 

しかし、そこには心拍数が信頼できる、という前提が必要です。

 

つまり、心拍数が運動強度に応じて直線的に増えないと

この処方は意味をなさないんですよね。

 

そんなことあるのか?

 

って思うかもしれませんが、あるんです。

 

代表的なのは心房細動です。

 

心房細動は心拍数の変動が大きかったり、とにかく心拍数があまりあてになりません。

 

こういう方に心拍数での処方は適さないので、

後述する一定の負荷量で処方した方がよいと考えられます。

 

他には、重症心不全などで多いのですが、変時性応答不全というのがあります。

 

chronotropic incompetence

 

と言います。

 

これは、臨床でも経験があるかもしれません。

 

運動しても何しても心拍数がほとんど変動しない方、

もちろんペースメーカとかじゃありません。

 

こういう人の多くは自律神経の乱れが強く、

運動に反応して心拍数を変化させることができません。

 

もちろん、このような方に心拍数で運動処方を行うと、

過負荷になってしまう恐れがありますので注意が必要です。

 

その他としては、薬の影響も考慮しないといけません。

 

意見が分かれるところではありますが、

βブロッカーを入れると心拍数の上りが悪くなることがあります。

 

少なくてもベースの心拍数が下がるので、

βブロッカー導入前と同じ心拍数での処方というのは少々難しいでしょう。

 

これらを加味した柔軟な対応が望ましいと考えます。

 

メリットはやはり在宅運動療法につなげやすいというところだと思います。

 

上記の注意点をふまえて処方をしてみて下さい。

 

ワット数での処方のメリット・デメリット

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ワット数、つまり負荷量での処方はよく行われますね。

 

AT時の運動負荷ではなく1分前の負荷を採用することが多いです。

 

理由としては、生体反応のタイムラグを考慮しているためです。

 

ワット数処方のデメリットは上述したように、

過負荷になってしまう恐れがあることです。

 

みなさんもそうだと思いますが、

体調の良い日とめちゃくちゃ具合の悪い日で同じ負荷だときつくないですか?

 

睡眠不足で二日酔いの日に

朝からいつも通りの負荷をかけられたら気分が悪くなると思います。

 

心不全患者さんは体調の波が大きいので、

不調の日に同じ負荷をかけると簡単に心臓に負担がかかってしまいます。

 

そこが一番の注意点でしょう、

ワット数で処方したとしても、

必ず日々の体調を管理し無理がないようなフィジカルアセスメントは必須です。

 

メリットは目標が具体的なことと、

次のステップアップがしやすいことだと感じます。

 

例えば、30Wまでしかできなかった人が、

40Wでも大丈夫になったとなれば誰が見ても良くなったということが分かります。

 

こういう良くなったという自己効力感というのはとても大事で、

モチベーションの維持に役立ちます。

 

 

おわりに

 

少なくても、心拍数での処方が困難な場合は

このようなワット数での処方か自覚的疲労感を目安にした処方をせざるを得ません。

 

実際には両者を合わせてうまく活用することになるかと思います。

 

CPXでの結果通りにいかない人もいます。

 

ATだって絶対ではないし、そもそもATが分かりにくい人もたくさんいます。

 

両方とも使いこなす気持ちと、やはり患者さんを良く診ておく、

つまりはフィジカルアセスメント能力が必要なことは覚えておいてください。

 

特にCPXが通常の病院では当たり前のようにAT処方をしているかもしれませんが、

そこに疑問をもって臨床に挑むと良いと思います。

 

それでは、本日の記事は以上となります。

最後までお読み頂きありがとうございました!

 

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