EPoch Official Blog

自費訪問リハビリサービス、セラピスト向けセミナー、訪問看護ステーション、IT事業、Body +、スポーツ事業など幅広く事業展開しています。

心臓リハビリの効果を他施設共同研究から考えてみたので解説します

f:id:EPoch:20200903195336p:plain

 

blog.ep-och.com

 

心臓リハビリテーションというのは実施施設も少なく、

養成校でもそれほど詳しく学ばないことから、

あまり認知度が高くないのが現状だと思います。

 

令和4年の診療報酬改定によって

回復期リハビリ病棟における心大血管リハビリテーション料の算定が可能になってから

徐々に心リハの認知度が上昇してきているのが現状です。

 

しかし心大血管リハビリテーション料の施設基準を有していても

なかなか関わらないこの現状をどうにか打破したいと考えております。

 

さて、その中で一つ誤解されていることがあります、それは

 

心リハって体力をつけるためにやってるんでしょ?

 

ってことです。

 

体力があれば長生きできるので、それももちろん大切なアウトカムです。

 

しかし、体力をつけることなんて大した目標ではない患者さんが大半です。

 

60歳過ぎて体力をつけたいって思う人はかなり少ないですし、

生活に事足りているとなおさらです。

 

では、何が主な目標なのでしょうか?

 

今回も論文を引用しつつお話していきたいと思います。

 

心臓リハビリテーションのアウトカムは何?

まず、心臓リハビリテーションを実施する患者さんは、

当たり前ですが循環器病をお持ちです。

 

代表的なのが冠動脈疾患や心不全、弁膜症や心筋症などもあります。

 

このような方たちの多くは恐怖心などによって活動量が減少しやすいです。

 

つまり、活動量低下の予備軍のようなものなんですよね。

 

生活習慣病がベースにあることが多いこの循環器疾患ですから、

運動習慣がなくなり活動量が低下することは不利益しかありません。

 

これら生活習慣病を改善するには、どうしたらよいと思いますか?

 

 

まずは

 

生活習慣を改善すること

 

です。

 

でもこれってめちゃめちゃ難しいんです。

習慣って簡単には変えられないでしょう?

 

だから、外来などによって通院する中で徐々に改善の方向に進めていく必要があります。

 

口頭で説明するだけで実際に改善できる人というのは一部です。

 

逆に、運動の場として提供するのであれば、

週1回の外来リハビリだけではもちろん足りません。

週3回くらい通院リハビリをして最低限の活動量になるかどうかです。

 

体力をつけることに終始するのであれば、それはそれでナンセンスですね。

 

心臓リハビリテーション研究 CROP研究から考えられること

Cardiac Rehabilitation for OutPatients in Kyushu:CROP

※こちらの記事は有料です

医学文献検索サービス -メディカルオンライン

 

CROP研究とは、「多施設共同研究」という意味です。

 

この九州で行われた研究では、

心臓リハビリテーションに積極的な九州地区の診療所や中小病院での

外来回復期・維持期の心臓リハビリテーションの普及促進を目指し、

回復期・維持期の心臓リハビリテーションの現状と今後の普及への課題を検討されていました。

 

簡単に言えば、外来通院中の循環器疾患患者さん(冠動脈疾患と心不全)を

心リハ参加群と非参加群に分けて各種検査結果指標と生存率を比較しています。

 

結果、血液生化学検査の結果や心エコーなどの循環動態の指標の数値に

大きな差は認められていないというものです。

両群ともに内服薬の変更があり、

それが影響しての変化と思われるものが存在した程度でした。

 

唯一あげるとしたら、収縮期血圧は心リハ参加群の方が上昇率が少なかったようです。

f:id:EPoch:20200903195421p:plain

 

これも心リハの効果として捉えて良いと考えますが、

詳細な理由までは検討できていません。

 

また、今回の研究の注目すべき点としては、

運動耐用能が有意な改善を示していないことです。

f:id:EPoch:20200903195510p:plain

このように、血圧に関しては

心リハの効果かもしれないし内服の変更の影響かもしれないのでなんとも言えません。

 

しかし、運動したのにMETsが上昇していません。

 

多くの先行研究で、

心リハによって運動耐用能が向上することが報告されていますが、

それらとは異なった結果です。

 

しかし!こちらを見て下さい。

f:id:EPoch:20200903195540p:plain



 

心事故だけに限ると有意差はありませんでしたが、

全事象にすると心リハ参加群の方が有意に生存率が高かったことがわかります。

 

これこそが心リハのアウトカムではないでしょうか?

 

少なくても運動耐用能は向上していないのですから、

それ以外の要素が生存率に影響を与えているということが考えられます。

 

もちろん、それが何なのかまではこの研究では検討されていません。

 

心臓リハビリの効果についてCROP研究結果から考えられること

ここからは私見です。

 

まず、CROP研究では1例を除くほぼ全例が追跡可能でした。

これほどドロップアウトが少ない研究も珍しいです。

 

これがなぜなのかはわかりませんが、運動強度の設定にやや疑問が残ります。

 

運動耐用能が向上していなかったということからわかるように、

運動処方がやや甘かったのかな?

という疑問が残ります。

 

その代わり継続率や追跡率がとっても高かったのではないでしょうか?

 

もしそうだと仮定すると、それは問題点も有しますが良い結果でもあります。

 

つまり、負荷にこだわりすぎてドロップアウトが多くなってしまうよりも、

負荷優先ではなく参加、継続を優先する取り組みでも

生存率の向上に寄与できる可能性がある、ということです。

 

そこには心理的な面やその他さまざまな要因が関与していると予想します。

 

外来に継続して通うということは多くの意味を有しているのです。

 

まとめ

改めて、心リハは運動耐用能の向上を主目標としたものではない

ということがお分かり頂けましたでしょうか?

 

本当に様々な効果を有するというか、

極論寄り添ってあげることだけでもプラスの効果を発揮することも可能です。

 

これは心リハに限ったことではないでしょうけど、

人と人が関わる以上科学的に解決できることばかりではない、

多くの効果があることをいつも感じています。

 

ぜひあなたも心臓リハビリの知識を身に着けてみてください。

 

もし興味を持ってくださるのであればこちらのセミナーをおすすめします。

 

回復期のリハビリにおける心リハの基礎知識と臨床応用|一括申込 – エポックセミナー

 

それでは、本日の記事は以上となります。

最後までお読み頂きありがとうございました!

 

 

blog.ep-och.com

 

理学療法士・作業療法士が臨床のヒントを探すならエポックセミナー

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士をはじめとする コメディカル、セラピストのための臨床に活きるセミナーがここにあります。 seminar.ep-och.com

関西の自費訪問リハビリならエポック

兵庫県・大阪府中心に自費訪問リハビリサービスをご提供しています。 2011年より、ひたむきに自費訪問リハビリサービスと向き合ってきた 私たちだからこそ、できることがあると思っています。 reha.ep-och.com

伊丹市・尼崎市の訪問看護ステーションならエポック

自費訪問リハビリで培ったノウハウを活かして、 訪問看護ステーションでも機能回復を目指した 看護・リハビリをご提供しています。 nurse.ep-och.com


阪急稲野駅JR猪名寺駅からスグ!カラダのことならエポックボディープラス

訪問だけじゃありません。 通えるリハビリもあります。 リラックスしたい方、カラダの相談したい方はエポックボディープラスへ! body-plus.ep-och.com