この何年かで体重が減った
特別なことはしてないはずなのになんだか疲れやすい
外出するのが億劫だな
家の中でふらついて転びそうになることが増えた
心当たりのある人はサルコペニアかもしれませんよ。
サルコペニアとは
「筋肉量が減り、筋力や身体機能が低下している状態」
であり、超高齢者の中で身体機能障害や転倒リスクになり得ると言われている
重要なキーワードです。
65歳以上になると3人に1人が年に1回以上転倒するという報告があり、
特に75歳になってから急激に増え、サルコペニアになると2〜3倍になります。
転倒の原因にはコードに引っかかった、段差につまづいたなど
「偶発的な環境要因」
が30%ほど関係していますが、
「歩行やバランス障害、筋力低下」
といった身体虚弱が原因であるものも17%と非常に多くなっています。
サルコペニアの人は転倒しやすいだけでなく、死亡率も高くなり、
なんとサルコペニアでない人と比べて2倍も死亡や要介護リスクが2倍にもなる
という報告があります。
今回はそんな恐ろしいサルコペニアについてお話しします。
サルコペニアの3つの判断基準
まずサルコペニアかどうかの判断基準は3つ。
①筋肉量
②低筋力
③低身体動作
です。
①の筋力量はDXA法とかBI法と呼ばれる特殊な検査を必要とするので、
簡単に「サルコペニアかな?」と判断するなら
②の低筋力と③の低身体動作ですね。
まず②低筋力ですが「握力」を測ります。
男性26kg未満
女性18kg未満
がサルコペニアの基準です。
握力は全身の筋力との相関が高いことがわかっており、
全身の筋力の程度を知る指標となります。
次に③低身体動作ですが、これは「歩行速度」を測ります。
秒速0.8m以下
がサルコペニアの基準です。
これは実は横断歩道を安全に渡り切れるかどうかと関係していて、
横断歩道はおよそ秒速1mで歩くことができれば
安全に渡り切れるように設計されているからのようです。
この2つでもある程度サルコペニアかどうかを判断できるのですが、
一応簡単にですが筋力量を測る方法としては「下腿周径」でも代用できるようです。
下腿の1番太いところの周径を計測して
30cm以下
になるとサルコペニアを強く示唆できると言われています。
サルコペニアになる理由
筋肉は常に分解と合成を行なっています。
筋肉は40歳頃から徐々に減少していく傾向にあるのですが、
60歳を超えるとその減少率がさらに加速していきます。
筋肉を増やすには筋肉への刺激と栄養が必要なわけですが、
高齢になってくると食が細くなり、
特に筋肉の材料となるタンパク質を豊富に含んだ肉類や魚類の量が減ってしまいます。
仕事なども定年を迎えて、
これといった趣味もなく家でゴロゴロして活動量が減り
筋肉に十分な刺激与えられない。
こうなると作られる筋肉よりも分解される筋肉の方が多くなり、
サルコペニアになってしまいます。
サルコペニアの予防〜運動〜
サルコペニアにならないようにするためには筋肉を増やすことなわけですが
筋肉を増やすために必要なことはやはり運動ですね。
適度な刺激を与えてあげることで筋肉量の維持や向上を狙います。
筋肉量を増やすために必要な運動の負荷量といえば、
以前であれば10〜12RMといって10〜12回で限界になるという重さで、
最大筋力のおよそ75%程度です。
しかし、最大筋力を測ることは専門の機械であったり、
1RMを測ることは患者さんの関節であったり循環器への負担も大きいため、
あまり現実的ではありません。
さらに近年では大事なことは総負荷量であり、
負荷を軽くしても回数を増やして総負荷量を増やせば
筋肥大することがわかっていますので
高齢者であれば低負荷で回数を増やすようなトレーニングをすれば良いでしょう。
サルコペニアの予防〜栄養〜
次は栄養です。
筋肉に刺激を与えても筋肉の材料がなければ筋肉を増やすことはできませんね。
というわけで筋肉の材料となるタンパク質を摂取しなければいけません。
タンパク質の1日の摂取目安は60gと言われています。
これは肉や魚を300g摂取すれば、ほぼ賄える量です。
イメージとしては焼肉1皿ですね。
なので毎食100gずつに豆腐や卵料理などを追加すれば問題なくクリアできます。
まとめ
いかがでしたか?
転倒リスクだけでなく、筋肉量や筋力の強さは死亡率にまで関係しています。
確かに患者様の中にも90歳を超えても元気に動いている方は
しっかり食べていたり、スポーツなど身体を動かす趣味を持っていますよね。
皆さん自身はもちろん、
ご家族がいつまでも健康でい続けるためにしっかり食べて、
しっかり動いてくださいね。
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