日本ではもちろんですが、世界的にも80歳以上の高齢者人口は増加しています。
それに伴って「サルコペニア」や「フレイル」といった
虚弱状態の高齢者が増えているということが問題になっています。
サルコペニアやフレイルは
運動不足もそうですが
身体を作ったり働かせるための栄養が不足しているということが
大きく関わっています。
実際に
半数以上の高齢者が推奨されているタンパク質摂取量を満たしていない
という報告もされています。
タンパク質の不足は
- 除脂肪体重の減少
- 身体活動量の低下
に繋がるためフレイルとの関連が非常に強いと言えます。
65歳以上では4人に1人 80歳以上では2人に1人がタンパク質不足
ヨーロッパの臨床栄養代謝学会では
高齢者のタンパク質摂取量を1.0g/kg/日を推奨しています。
しかし、この量を満たしていない人は男性では27%、女性では23%と
4人に1人がタンパク質不足という結果になっています。
またデンマークの研究になりますが、80歳以上の高齢者では
前述のタンパク質の推奨摂取量に達していなかった方は54%と
半数以上の方がタンパク質不足という結果になったそうです。
タンパク質摂取量が推奨をいたしているグループと満たしていないグループでは何が違うのでしょうか?
まず満たしていないグループは当然ですが朝食、昼食、夕食からのタンパク質摂取量が少ないという結果となり
他にも身体機能が低下していたと報告されているため、やはりタンパク質の摂取量が少ないと身体機能が低下しやすくなる、フレイルになりやすくなるということがわかると思います。
また、BMIでは満たしていないグループの方が高く、体重が重いにも関わらず身体機能が低下しやすいということですから、様々な問題に繋がりますね。
タンパク質摂取量が足りなくなる関連因子
それではタンパク質摂取量が満たされていないグループはなぜ摂取量が少なくなるのでしょうか?
タンパク質摂取量の低下の関連因子は
- 食欲不振
- 口渇
- 疼痛
であるということが言われています。
食欲不振であれば絶対的な食事量は減りますね。
そうすればタンパク質の摂取量も減っていきます。
また口渇があれば、嚥下に問題が出てくるわけですから
そうすると食べるのが億劫になったり、タンパク質を豊富に含む肉などは食べにくくなりやはりタンパク質不足になります。
疼痛もあれば気落ちが落ち込み気味になります。
落ち込んでいれば食欲も湧かないはずですから、やはりタンパク質の摂取量は減ってきます。
改善可能な因子にはセラピストが介入しよう
いかがでしたか?
フレイルやサルコペニアの原因には栄養不足があることはわかっていましたが
それを引き起こす関連因子まではわかっていなかった方もいると思います。
ただ単純に「筋肉をつけるには食べないといけないから、しっかり食べてよ。」と言っても中々食事量は増えてこないと思います。
しかし、今回挙げた関連因子の中には我々セラピストで介入できることがありましたよね。
他にも下痢や吐き気といった因子も関わっているようですので
原因に合わせて、介入していけると良いですね。
1日に必要なタンパク質量を知りたい方はこちらの記事を参考にしてくださいね。