- 浮腫(むくみ)とは?放置するとなぜダメなのか?
- むくみも実は危険のサイン!?静脈血栓症
- むくみやすい人の特徴とは?
- むくみの対処法
- 理学療法士が教える家でもできるマッサージの方法
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介護をしていると、
よく直面する問題が「むくみ」です。
よくみられる症状ですが、なかなか治らないと悩むことも多いでしょう。
健康な人にもむくみは出ますが、
ケガや麻痺などの疾患を持っていると
むくみが強く出やすく、
またそれが別のリスクを引き起こすこともあれば、
重大な病気のサインということもあります。
たかがむくみ、されどむくみ。
むくみの危険なサインを知り、
家でも、介護をするご家族でもできるむくみの対処法をお伝えします。
浮腫(むくみ)とは?放置するとなぜダメなのか?
浮腫(むくみ)とは
「組織間隙(Interstitial space)に生理的な代償能力を越えて過剰な水分の貯留した状態」
と言われています。
つまりは
「細胞と細胞の間の隙間に過剰に水分が溜まった状態」
のことを言います。
むくみがあるかないかは、指の腹で5秒以上押して、押した痕が残るかどうかで確認することができます。
足に現れることが多いですが、手や顔、体全体におこります。
例えば、あおむけでずっと過ごしている寝たきりの方などは、背中にむくみが現れることがあります。
足がむくみやすいのは、体の中でも特に下の方に位置しやすいので、水分が下へ下へと降りてしまうためですね。
特に足はむくみが出やすい場所です。
足は心臓から遠いため、 足に行った血液は、
ふくらはぎの筋肉がポンプの役割となり、
重力に逆らって足の血液を心臓に戻すよう手伝っています。
しかし、長時間の立ち仕事や、同じ姿勢を取り続けることで、
足の筋肉が疲労します。
ふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たさなくなり、
血流が悪くなります。
これが足のむくみを引き起こす元となります。
一日の終わりの隙間時間に!むくみの原因とお手軽解消法
むくみは血液の循環が悪くなると起こりやすく、
長時間そのままにしておくと、様々なリスクを引き起こします。
関節が硬くなる(関節拘縮)
むくみがあるとむくんでいる部分が邪魔をしてしまい、関節の曲げ伸ばしが行いにくくなります。
よく太っているとお腹のお肉がつっかえて前にかがめない、
ということがあると思います。
それと同じ現象がむくんでいる関節で起きています。
また、体の組織が線維化しやすくなり、組織自体が硬くなってしまいます。
表面の皮膚が引き伸ばされて傷つきやすくなる
むくみがあると体積が大きくなり皮膚も引き伸ばされます。
風船がパンパンに膨らむように皮膚がピンと張った状態になります。
皮膚自体の柔軟性が無くなってしまい、
どこかにぶつけた、
何かで引っかいた、
ということがあるとすぐに傷になったり、傷が広がりやすかったりします。
また、パンパンに張った皮膚はそれだけで痛みの原因になることもあります。
転びやすくなる
足にむくみがあると足の裏の感覚が悪くなりバランス感覚が低下します。
歩きにくくなり転倒する危険性が高くなります。
靴が履けない
片方だけむくみがあると左右の足の大きさが変わってしまい、
靴が合わなくなってしまうことが良くあります。
無理に履き続けていると靴擦れを引き起こしたり、それが元になって傷や炎症ができて
歩くと痛い→歩きたくない、
と更に活動を制限してしまうこともあり得ます。
福祉用品などの専門の取扱店では、片方ずつサイズに合った靴を合わせて買うことができます。
最近ではデザインもオシャレなものも増えていますよ。
むくみも実は危険のサイン!?静脈血栓症
足の静脈内に血液の塊が出来るとむくみが生じ、
この血液の塊がはがれて流れてしまうと、心臓を通り過ぎて肺の血管に詰まります。
そうすると肺から酸素が取り込めなくなり、急に呼吸困難となります。
これが「エコノミークラス症候群」です。
専門的には「肺動脈血栓塞栓症」と言います。
突然死する可能性のある怖い病気です。
最近では震災などの災害によって、避難生活を余儀なくされた方々が多く発症し、注目されることが増えました。
このエコノミークラス症候群の引き金となるのが
足の太い静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」です。
単なるむくみと混同されがちですが、
非常にリスクが高く、血栓に対する治療が必要となります。
むくむ=マッサージと捉えがちですが、
静脈血栓症の場合、マッサージは禁忌なので注意が必要です。
むくみやすい人の特徴とは?
浮腫には心不全や腎臓病などによる病気が原因で起こるものと、
長時間の同一姿勢や水分の過剰摂取など病気以外の原因で起こる一過性のものとがあります。
浮腫(むくみ)を引き起こす要因は、
- pressure(静脈圧)
- protein(蛋白質)
- permeability(透過性)
- paresis(麻痺)
- pendency(下垂)
の5つのPが関与すると言われています。
例えば、車いす生活で足を動かす機会が少ない場合、
足がずっと下に降りていて(下垂)、動かさないので足のポンプ作用が働かず、
水分がどんどん下に溜まってしまいます。
脳卒中の片麻痺の場合は、麻痺側の筋肉が働きにくく、血流が悪くなりむくみやすくなります。
むくみの対処法
手や足におこる一過性のものであれば以下に示すものが有効です。
① 挙上(きょじょう)
むくんでいる部分を心臓の高さより高く持ち上げます。
寝る時はむくんでいる手や足の下にクッションを入れ、やや高くなるようにすると効果的です。
②自動運動
動かせる関節を動かすことで筋肉の収縮をさせ、リンパの流れを増加させます。挙上位で行うとさらに効果的です。
例えば、ストレッチや体操(指の曲げ伸ばし、かかと・つま先上げ運動)などがあげられます。
③マッサージ・圧迫
指先など抹消から体の中心に向けて、軽く皮膚をこするように5~10分程度マッサージを行い、血液が心臓に戻るのを促します。
弾性包帯や弾性ストッキングなど利用し、軽い圧迫を加えることも効果があるとされていますが、利用には十分な注意が必要なため、医療関係者と相談し適切に利用することが大切です。
④薬による調整
心不全などによるむくみの場合、全身の循環機能が低下しているため、心臓に負担が掛かっている状態のため、利尿剤などの調整が必要となります。
理学療法士が教える家でもできるマッサージの方法
覚えておくポイントは3つです。
①むくみは骨と骨の間などの隙間やへこんでいる部分にたまる。
②抹消から中枢へ(心臓から遠い所から近い所へ)動かす。
③優しく撫で上げるようにさする。
足の甲のマッサージ:
指の間の付け根から骨の出っ張りを避けてへこんでいる所を足首に向けてマッサージします。
くるぶしのマッサージ:
くるぶしの周りもむくみが溜まりやすい所です。
くるくると丸を書くように動かしましょう。
※静脈血栓症がある場合、マッサージは禁忌となっていますので、行わないようにしてください。
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