呼吸リハビリテーションの対象患者さんの多くは呼吸困難感があります。
そして、その呼吸困難感がQOLを低下させていることが多いです。
あるいは、呼吸困難感が活動制限を招き、
廃用症候群の悪循環を生んでしまっていることも。
つまり、呼吸リハビリテーションにおいて呼吸困難感の理解は重要な課題です。
ここでは呼吸困難感(Dyspnea)の原因とされている
3つのメカニズムをご紹介したいと思います。
これらを聞いたことが無いという方は
ぜひこの記事で呼吸困難感を理解してみて下さい。
臨床で患者さんが呼吸困難感を訴えていたら
これらのいずれかにあてはめて考えてみて下さい。
呼吸困難感のメカニズム1|Work/Effort
一つ目はWork/Effortです。
仕事/努力感あるいは呼吸努力感などと表現されます。
呼吸するのが大変
呼吸する努力が必要
呼吸するのが疲れる
というような感覚がこれに当たります。
息が吸いにくい状態になるとこの感覚が強くなります。
感染対策としてマスクを装着すると息苦しく感じませんか?
あの感覚もWork/Effortかもしれません。
N95マスクはさらに呼吸困難感が強くなります。
このように、実験的にも呼吸抵抗を負荷した際に
呼吸困難感が強くなるとされています。
呼吸困難感のメカニズム2|Tightness
2つ目はTighnessです。
狭窄感、胸部狭窄感などとされる呼吸困難感であり、気管支喘息発作で起こります。
実験的にも気管支ぜんそく患者に気管支収縮を起こす薬を投与すると
呼吸困難感が生じることが確認されています。
ただ、Tightnessによって呼吸困難感が生じると、
気道閉塞に抗して換気を維持するために呼吸運動出力が増加し、
Work/Effortが起こると考えられます。
気管支が何らかの理由で狭窄すると呼吸困難感を生じることを覚えておきましょう。
呼吸困難感のメカニズム3|Air hunger/Unsatisfied inspiration
今までの2つは比較的わかりやすかったと思います。
息が吸いにくいから苦しい。
気管が狭窄しているから苦しい。
3つ目のAir hunger/Unsatisfied inspirationは少々ややこしい気もしますが、
多くの病態や状態に関与していると考えられています。
Air hungerは空気飢餓感と訳されます。
『もっと空気がほしい』
『もっと呼吸がしたい』
という感覚です。
Unsatisfied inspirationの日本語訳は特にありませんが
『息が吸い足りない』
『もっと深い呼吸をしたい』
など、十分に吸気ができないという感覚を表します。
呼吸困難感の程度が同程度であっても、
AirhungerはWork/Effortに比べて不快感が強いことが示されています。
また、呼吸困難感をもつ呼吸器疾患患者さんの運動終末での呼吸困難感は
Air hungerが主体と考えられています。
まだ未解明な点もありますが、仮説としては
呼吸運動出力に比して実際の肺膨張が少ないこと
が要因であると考えられています。
呼吸困難感のメカニズムまとめ
呼吸困難感は患者さんの主訴になることが多く
対応に難渋することも少なくありません。
その際に、なぜこんなに呼吸困難感があるのだろう?
と疑問をもつことが大切です。
呼吸器疾患があるから
とか
心不全だから
と簡単に解決してしまうのではなく、
何が原因なのか?どうすれば解消できるのかを考えながら
患者さんに接するようにしましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました!
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